
(写真は「赤旗」Web版より引用)
日刊「赤旗」および一般紙Web版の記事より切り貼りして紹介します。(S)
まずは「赤旗」から・・・
中山裁判長は国公法の政治活動の制限そのものは「合憲」としながらも、今日では国民の意識は変化し、表現の自由が特に重要だという認識が深まっていると指摘。勤務時間外まで全面的に政治活動を禁止するのは、規制が不必要に広すぎるとの疑問があるとしました。
そのうえで、堀越さんが行った行為は、私人として休日に職務と無関係に、公務員であることを明かさずに行ったにすぎないとして、「国の行政の中立的運営と、それに対する国民の信頼確保を侵害するとは常識的に考えられない」と認定。「被告を処罰することは、国家公務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加えたもので、憲法21条などに違反する」と結論づけました。
判決の骨子
一、国家公務員法や人事院規則による公務員の政治活動禁止は憲法に違反しない。
一、被告の行為は行政の中立的運営、行政に対する国民の信頼確保を侵害しない。
一、本件の処罰は国家公務員の政治的活動の自由に限度を超えた制約を加え、表現の自由を保障する憲法21条に違反。
守られた「表現の自由」
・「公務員の政治活動」は世界の流れ 「赤旗」3/30
主張
・弾圧の意図挫(くじ)く意義ある判決 「赤旗」3/30
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続いて、一般紙Web版記事より
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朝日新聞
政党機関紙配布、元社保庁職員に逆転無罪 東京高裁
中山隆夫裁判長は「このような配布に同法の罰則規定を適用するのは国家公務員の政治活動に限度を超えた制約を加えることになり、表現の自由を保障した憲法に反する」との判断を示した。
この日の判決は「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」と述べ、猿払事件判決の司法判断の大枠は維持した。その一方で「国民の法意識は時代の進展や政治的、社会的状況の変動によって変容する」と指摘。猿払事件当時と比べて「民主主義は成熟し、表現の自由が重要な権利であるという認識が一層深まっている」との状況認識を示し、「公務員の政治活動を全面的に禁止することは、不必要に広すぎる面がある」とした。
元審査官は社会保険事務所に勤務する事務官で、職務に裁量の余地がなく管理職でもない▽休日に勤務先やその職務とかかわりなく、勤務先から離れた自宅周辺で、公務員であることを明らかにせずに配布しており、目撃した一般国民がいたとしても、公務員の政治的行為と認識する可能性はなかった――と言及した。
中山裁判長は判決理由の最後に「付言」として国家公務員の政治的行為の禁止について言及。諸外国と比べても厳しく、制定当時と比べても大きな社会意識の変化が起きていることや、地方公務員に対する制限とも異なることを踏まえ、「組織的に行われたものや、ほかの違反行為を伴うものを除けば、表現の自由の発現として、相当程度許容的になってきている」と指摘。「刑事罰の対象とすることの当否、その範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」と述べた。
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産経新聞
【視点】「赤旗」配布 政治活動規制のあり方問い直す
共産党機関紙を配布した元社会保険庁職員に逆転無罪を言い渡した東京高裁判決は、政治的行為を禁止する国家公務員法を肯定しつつも、変化し続ける国内外の情勢を考慮して、規制のあり方を問い直した。
確かに、高裁が指摘するように最高裁判例から35年がたち、東西冷戦が終結するなど、政治情勢は大きく変化した。今回の判決でも「先進国に比べ、日本は国家公務員に対する規制が厳しい」などとしている。また、表現の自由の過度な規制が民主主義の根幹を揺るがすことにもなる。
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共同通信
赤旗配布で逆転無罪、東京高裁 元社保庁職員の男性
公務員の身分で共産党機関紙を近所に配ったとして、国家公務員法違反の罪に問われた元社会保険庁職員堀越明男被告(56)の控訴審判決で、東京高裁の中山隆夫裁判長は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした一審判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。中山裁判長は判決理由で「被告の行為は職務と関係がない単発的行為」と指摘、「罰則の適用は表現の自由などを保障した憲法に違反するとの判断を免れない」と述べた。
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時事通信
元社保庁職員に逆転無罪=「機関紙配布、処罰は違憲」-国公法違反事件・東京高裁
中山隆夫裁判長は「被告の機関紙配布行為を罰することは、表現の自由を保障した憲法に違反する」として、逆転無罪を言い渡した。
被告が行った機関紙配布行為は、休日に職務と無関係に、公務員であることを明かさずに行ったにすぎないとして、「国の行政の中立的運営や国民の信頼の確保を侵害するとは考えられない」と判断。「被告を処罰することは、国家公務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加えるもので、憲法21条などに違反する」と結論付けた。
さらに、「わが国の国家公務員への政治的行為の禁止は、諸外国と比べ広範なものになっている。グローバル化が進む中で、世界標準の視点などからも再検討される時代が到来している」とした、異例の付言をした。