横浜事件、実質無罪=刑事補償交付を決定-裁判打ち切りの元被告に・地裁(時事通信) - goo ニュース

(写真は時事通信より配信分)
遺族「最も素晴らしい決定」=感極まり、喜びの声-横浜事件
時事通信 2010年2月4日(木)13:03
「期待した最も素晴らしい決定」。刑事補償交付決定を受け、横浜事件元被告の遺族らは、感極まってこれまでの長い闘いを振り返った。
遺族らは決定直後に横浜市内で記者会見。「画期的な決定」「司法の責任を明確に認めてくれた」と口々に喜びの声を上げた。
元被告・故小野康人さんの次男新一さん(63)と長女斎藤信子さん(60)は、興奮気味の弁護士から「すごい決定だよ」と内容の説明を受けると、一言一言うなずきながら聞き入り、新一さんは涙ぐみながら弁護士と固い握手を交わした。
斎藤さんは「再審申し立てから24年、ようやく本当の答えを得ることができた。1次再審を申し立てた全員に(決定を)聞いてもらいたい」と声を震わせ、分厚い決定書に何度も目をやった。
「主人は『よくここまでやってくれたな』と言ってくれるだろう」。故木村亨さんの妻まきさん(60)はそう語ったが、「長い歳月の中で被害者、弁護団の方が亡くなるなど、失うものも多かった。主人は喜びつつも、怒りも持ち合わせていると思う」と話し、複雑な心境をのぞかせた。
大川隆司弁護士は「司法関係者すべてが責任を負うべきだと公式に初めて認めたことは非常に大きい」と高く評価。佐藤博史弁護士も「裁判員時代を迎え、自己回復能力がわが国の司法の中にあったということ」とした。
横浜事件・元被告の遺族へ補償交付…地裁決定
読売新聞 2010年2月4日(木)12:08
(読売新聞)
戦時中最大の言論弾圧事件「横浜事件」で、再審で裁判を打ち切る免訴判決が確定した木村亨さんら元被告5人(全員死亡)の遺族が申し立てた刑事補償請求について、横浜地裁(大島隆明裁判長)は4日、「拷問による虚偽の自白で有罪とされたもので、現存する資料を基に当時の証拠を検討しても、5人が無罪だったことは明らかだ」として、遺族側の請求通り計約4700万円の補償を認める決定をした。
決定は、 冤罪 ( えんざい ) を生んだ、当時の司法の責任も明確に認めた。
最高裁によると、免訴判決が確定した元被告の刑事補償が認められるのは初めて。刑事補償法は、無罪判決だけでなく、免訴とされた人も「免訴とする理由がなければ無罪判決を受ける十分な理由がある場合」に補償を認めると規定。5人の有罪確定から65年を経て、事実上、無罪と認定された。
元被告は第3次再審請求の木村さん、平館利雄さん、由田浩さん、小林英三郎さんと、第4次請求の小野康人さん。5人は終戦直後の1945年8~9月、治安維持法違反でいずれも懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受けて確定。元被告らは86年に再審を請求。昨年4月に小野さんの免訴判決が確定、5人の遺族計6人が同4~5月に刑事補償を請求した。
大島裁判長は決定で、有罪判決の唯一の証拠とされた元被告らの自白調書について「神奈川県警特別高等課(特高)による激しい拷問で生命の危機を感じるなどした結果、やむなくした虚偽の自白」と指摘した。
特高が「(当時は非合法の)共産党再建の準備集会」と位置付けた会合も、「秘密会合ではなく、遊興目的だった」と認定、「再審公判で実体判断をしていれば無罪判決を受けていたことは明らかだ」と結論付けた。
取り調べで拷問をした警察や起訴した検察、十分な審理をせずに判決を下した裁判所の過失も認め、「(事件は)特高の思い込み捜査に始まり、司法関係者の追認で完結した。各機関の故意・過失は総じて重大だ」とし、当時の司法の責任を明確に認めた。
そのうえで、「5人が拷問を受けた肉体的、精神的苦痛は甚大」として、刑事補償法が規定する最高額の1日あたり1万2500円に、5人の逮捕・拘置日数(579~846日)を乗じ、約723万~1057万円の交付を認めた。
◆決定の骨子◆
▽再審公判で実体判断が可能だったなら、無罪判決を受けたことは明らか
・1945年に共産党再建準備会議と認定された会合は宴会だった
・自白は拷問で得られたと推認できる
▽当時の警察、検察、裁判各機関の故意・過失は重大
横浜事件、無罪の判断 地裁、元被告に刑事補償認める(朝日新聞) - goo ニュース
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横浜事件、無罪の判断
地裁、元被告に刑事補償認める
朝日新聞 2010年2月4日12時23分
戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」の再審で、有罪か無罪かを判断せずに裁判を打ち切る「免訴」判決を受けた元被告5人について、横浜地裁は4日、刑事補償を認める決定をした。5人の補償総額は遺族が請求した通りの約4700万円。大島隆明裁判長は「治安維持法の廃止など免訴にあたる理由がなければ、無罪判決を受けたことは明らか」と述べ、実質的な「無罪」と判断した。
再審で無罪判決が言い渡された場合と同様に、今回の補償決定は官報や新聞に公示される。1986年に初めて再審請求して以来、初めて司法により元被告の名誉回復が図られる。最高裁によると、免訴判決後に刑事補償が認められたこれまでのケースは「把握していない」という。検察側は抗告しないとみられ、決定は確定する見通し。
認められたのは、いずれも故人で、元中央公論社出版部の木村亨さん▽元改造社編集部の小林英三郎さん▽旧満鉄調査部員の平舘利雄さん▽元古河電工社員の由田浩さん▽元改造社編集部の小野康人さん。5人は治安維持法違反で45年に有罪判決を受けた。
刑事補償法は、法の廃止や大赦などの免訴となる理由がなければ無罪判決を受けたと認められる場合には、補償金を支払うと定めている。
決定は、神奈川県警特別高等課(特高)の当時の捜査について「極めて弱い証拠に基づき、暴行や脅迫を用いて捜査を進めたことは、重大な過失」と認定。検察官も「拷問を見過ごして起訴した」、裁判官も「拙速、粗雑と言われてもやむを得ない事件処理をした」としたうえで、「思い込みの捜査から始まり、司法関係者による追認により完結した」と事件を総括した。
事件の発端のひとつは、特高警察が42年の富山県泊町(現・朝日町)での会合を、「日本共産党の再建準備会」とみなしたことだった。決定はこの会合について「遊興の会合だった可能性が高く、再建のための会議という事実は認定できない」とした。
昨年3月に横浜地裁であった4次の再審判決を担当したのは、今回の決定と同じ大島裁判長だった。その判決の中で、刑事補償の請求があれば実質的な無罪判断を出す可能性を示唆していた。(波戸健一、二階堂友紀)
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〈横浜事件〉 1942~45年、中央公論や改造社、朝日新聞などの言論・出版関係者の約60人が「共産主義を宣伝した」などとして神奈川県警特別高等課(特高)に治安維持法違反容疑で逮捕された事件の総称。約30人が有罪判決を受け、4人が獄死した。その後、取り調べに拷問があったとして、元警察官3人が特別公務員暴行傷害罪で有罪となった。元被告の無罪判決を求めた再審請求は86年から4次にわたって行われた。3次で初めて再審が認められたが、4次とともに「治安維持法の廃止」などを理由にいずれも有罪、無罪を示さない免訴判決が言い渡された。