ほぼ半分のスペースを使って
「蟹工船」 と 「戦艦ポチョムキン」
時空こえ、響き合う2作
「幻の名画」に思い馳せた多喜二
という記事が掲載されている。
映画評論家の山田和夫氏の論稿である。
長い記事ではあるが、要旨は以下のようなもの。
* 多くの人が、山村 聡 監督の映画 「蟹工船」(1953作)
と エイゼンシュテインの映画 「戦艦ポチョムキン」(1925作)
の類似性を論じ、フランスの評論家は、「『蟹工船』は 『戦艦ポチョムキン』に
酷似しており、エイゼンシュテインの技法に大きく影響を受けている」
とまで書いている。
* 小林多喜二は、先輩であるモスクワ滞在中の蔵原惟人から「戦艦ポチョムキン」
の情報は得たが、ついぞ鑑賞する機会はなかった。
しかし、この作品について蔵原情報を元に、コメントを寄せている。
同じ年(1929年:時まさに世界恐慌の年)に「蟹工船」を書いている。
* 映画「戦艦ポチョムキン」は、1926年には輸入されようとしたが、検閲により
横浜港から出られず、そのままソ連に送り返された。
* 山村 聡が1953年に映画「蟹工船」を制作した際には、制作スタッフの誰もが
「戦艦ポチョムキン」を観たものは居なかった。
* 「戦艦ポチョムキン」が日本で最初に上映されたのは1959年である。
* 映画「蟹工船」の結末が原作とは異なって虐殺されることについて、
自衛隊創設に向かう政治情勢を控えて
「日本軍隊の反国民的な性格を強調したかったが故の改変」であろう。
ということである。
小林多喜二 も 山村 聡 も 「戦艦ポチョムキン」 を観る機会がなかったのに
ここまで共感し逢えていることが驚きという他ない。
私が、映画 「蟹工船」 を観た際も、その直前に観たDVD「戦艦ポチョムキン」
との共通性を感じずには居られなかったが、それは「映画の技法」というよりは、
船の中という逃げ場の無い閉鎖された空間でこき使われる労働者や兵士を
描いているというシチュエーションの共通性によるものかも知れない。
もう一度、「戦艦ポチョムキン」 を観てみようと思う。
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「赤旗」 記事より イベントの御案内
「戦艦ポチョムキン」 メイド・イン・ジャパン
2008年12月4日 午後4時から
江戸東京博物館 (JR両国駅下車:国技館の隣) にて
第1部 シンポジウム
「エイゼンシュテインとロシア映画100年」
第2部 活弁・伴奏つき 「戦艦ポチョムキン」 上映
当日券 2500円
お問い合わせは
⇒ エイゼンシュテイン・シネクラブ
080-5462-2389 (井上さま)