衆院選、11月2日に投開票…首相意向(読売新聞) - goo ニュース
民主鳩山氏「11月9日投開票を」 「党首同士話し合いも」(共同通信) - goo ニュース
日本共産党は、「衆議院解散は、当然だ」としながらも、新首相の所信表明演説と各党の代表質問など充分な「論戦」を行って、選挙の争点を明確にしたあとで行うべきである、と主張している。
主張
麻生政権発足
国政問題の徹底論議は不可欠
2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
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福田内閣の辞職が正式に決まり、自民・公明に推された麻生太郎自民党総裁が新しい首相に就任して、新内閣が発足しました。
安倍晋三、福田康夫と二代の内閣が国民の審判を経ないで政権を続けた異常さに照らしても、新内閣が解散・総選挙で国民の審判を受けるのは当然です。しかし、そのためには、臨時国会で国政の基本問題を徹底論議し、争点を明らかにして実施すべきです。
議論すべき課題は山積
政府の調査でも「生活が苦しい」と訴える国民が増え、六割近くになっているように、いま緊急に解決を求められる国民の暮らしに直結した問題が山積しています。景気の低迷が深刻になり、原油・食料の急騰が生活を直撃しているだけでなく、アメリカを震源地とした国際的な金融不安が日本経済を揺さぶっています。
とりわけ、輸入米など汚染したコメが不正に転売され、学校給食や病院でも使われていた問題は「食の安全」にかかわる重大問題です。捜査当局も強制捜査に着手しましたが、悪徳業者や農水省の責任とともに、必要のないコメを大量に輸入してきた自民党農政の責任にまで踏み込んで、国会で徹底論議することは不可欠です。
七十五歳以上のお年寄りを差別する「後期高齢者医療制度」の問題では十月十五日から新たに六百万人以上が年金から保険料を天引きされようとしています。労働者派遣法を抜本改正し、不安定雇用を改善することは、待ったなしの課題です。
重要なのは、景気の低迷や「食の安全」の問題に緊急に手を打つためにも、なぜこれらの問題が起きているのか、解決のためには何が必要かを、国民の前で徹底して議論することです。
日本経済が、原油や食料の急騰に直撃され、金融不安によっても脅かされている根本には、もともと弱肉強食の「構造改革」路線によって大企業のもうけだけを増やし、不安定雇用や負担増を国民に押し付けて暮らしを悪化させ、貧困と格差も拡大しているという、ゆがみがあります。国内需要の六割を占める個人消費が落ち込んでいるために、日本経済は海外の動向に左右されやすい脆弱(ぜいじゃく)な構造になっているのです。
こうした経済を立て直すには、経済政策の軸足を大企業から家計と内需に転換していくことが不可欠です。大企業のもうけ最優先の政治をたださなければ、国民生活の不安も、雇用や社会保障の問題も解決しません。総選挙に向けた臨時国会で景気問題を議論するというなら、こうした根本問題をこそ徹底して議論し、争点を鮮明にすべきです。
主権者の審判に判断材料
新しく首相に選ばれた麻生氏は、小泉純一郎政権以来の「構造改革」路線の推進者であり、消費税の10%への引き上げなどを公言してきました。総裁選中は「日本経済は全治三年」などと「景気対策」を口にしてきましたが、「構造改革」路線への反省も、行き詰まりの打開策も示していません。
選挙は国民が主権者としての権利を行使する、もっとも大切な機会です。直面する国政の基本問題についての論議をつくさず、国民に十分な判断材料を示さないまま総選挙を強行するのは、主権者の権利をないがしろにするものです。
幾つかの地方紙の「社説」は、【続き】 をご覧ください。
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新聞各紙でも「論戦を行ってから」という論調は際立っているようだ。
たとえば、「さきがけOnTheWeb」 の9月25日の「社説」では・・・
麻生内閣発足 解散は論戦を経た後だ
麻生太郎自民党総裁が24日召集の臨時国会で首相に選出され、新内閣が発足した。麻生首相は3代連続で国民の審判を受けずに誕生した首相だが、新内閣は近く実施が見込まれる衆院解散、総選挙までの事実上の暫定内閣だ。政界は既に総選挙に目を向けている。しかし麻生首相は補正予算案を成立させた後、総選挙に臨むべきだ。
総選挙の結果次第では政権交代、政界再編もあり得る政局を迎えている。自民党内には総裁選の余勢を駆って早期解散、総選挙を求める声もあるが、発足直後ほど高い傾向にある内閣支持率を計算する姑息(こそく)な手段をとらず、与野党が堂々と論戦する場を設ける必要がある。
政治に空白は許されず、刻々と変化する国内外の状況に政治がどう対応し、日本の針路をどう描くか、国民の前に明らかにしなければならないためだ。
福田康夫前首相が退陣を表明した今月1日以降、政治は空白状態にあった。この間、米粉加工販売会社による汚染米の大規模な不正転売、有害物質メラミンが混入した中国製乳製品の国内流入、米国の金融危機など、社会を揺るがす大問題が次々に発生した。
汚染米の流通は農林水産省のずさんな対応とも相まって国民の不安を招いた。これはもとをただせば農業の衰退と農政、食品行政の不手際に行き着く。米金融危機への対応では、救済役の形で国内金融機関の海外出資が相次ぎ、金融界の大再編に積極的に絡む状況となった。
こうした時に政治が機能不全に陥ることは許されない。麻生首相は、以前から政権交代の必要性を強く唱える民主党の小沢一郎代表と真っ向から対決する姿勢を鮮明にしている。次期衆院選は真の意味で政権選択の選挙となるが、事実上の暫定内閣とはいえ麻生内閣が取り組むべきことは、政策を明確に示し、野党の主張との違いを国民に説明することであろう。
そのためには総合経済対策の実現などに向けた予算委員会審議は外せない。麻生首相はさらに、自民党総裁選で最重要課題として挙げた景気対策に加え、劣化が否めない政治をどう立て直すか、責任政党としての務めを果たす工程を明示すべきだ。
同じことは民主党についてもいえる。小沢代表は次期衆院選を政権奪取への「最後の一戦」と位置付けているが、民主党は小沢代表の私物ではない。小沢代表にとって最後の一戦を強調すればするほど「お祭り」的な対決ムードが先行し、常に政策を競い続ける2大政党制の意義が薄れよう。財源を含め政権構想の具体策を示してほしい。
麻生内閣は、内容が憶測を呼んでいる後期高齢者医療制度の見直しをはじめ、年金記録改ざん問題、食品の安全性の確保など、山積する政治課題をどう処理しようとするのか。不確かな「人気」を武器にしても難局は乗り切れない。
(2008/09/25 09:58 更新)
また、 「河北新報」 の9月25日の「社説」では・・・
麻生内閣発足/政権のカラーを鮮明にせよ
誰もが政治の変化の可能性を感じ始めているのではないか。そんなただならぬ空気が漂う中麻生太郎内閣がスタートした。
新内閣は人々の求めに精いっぱい応えていく責任がある。
一方で、近々に予定される衆院の解散・総選挙で民主党に政権の座を明け渡さざるを得ないかもしれない宿命を背負う。
足場ががけっぷちにかかってしまった危機感を募らせているのは、ほかならぬ麻生首相だろう。
しかしその割に、政権の維持に向けて政治をどう進化させるのかという鮮明な方策が新内閣発足に当たって見えてこない。
まずは、麻生氏が「最優先」を言明してきた景気対策だ。
新内閣はこの臨時国会に、緊急経済対策に基づく総額1兆8000億円の補正予算案を提出するが、これは福田康夫前内閣が8月末に与党と合意したものだ。
麻生氏は当時幹事長で、合意に責任を負う立場のため、前内閣案だからといって不都合を指摘する空気は広がっていない。
しかし、積極的な財政出動に慎重だった福田前首相と区別できる「麻生カラー」を、仕切り直しとなった補正予算案に求める声が今ないわけではない。
しかも、米リーマン・ブラザーズの経営破たんが引き起こした金融不安はこの合意成立後に本格化した。景気後退局面入りした「金融立国」への悪影響が予想される中で、補正予算見直しの必要はないのだろうか。
準備した補正予算案を短時間で組み替えるのが難しいなら、新内閣は追加的な経済対策の提案や金融危機への対応について考え方を明確にすべきである。
もちろん財政規律重視派の与謝野馨氏を閣内に残した以上は景気対策と財政再建の展望も示さなければ閣内不一致となる。
新内閣は国民の反発が強い後期高齢者医療制度の見直しに着手したが、野党が臨時国会の追及材料としている汚染米問題や厚生年金記録の改ざん問題にどう対応していくのか不鮮明だ。
特に輸入時にカビで汚れた米や禁止農薬にまみれた米が国内市場を自由に流通した汚染米事件は年間77万トンもの米輸入を認めるミニマムアクセス米制度の危うさを浮き立たせた。
関係した業者の強制捜査や農相の解任で済む話ではない。
主食のコメさえ正常に管理できない政治の無責任を多くの国民が消費の現場で感じ始めた今、新政権は「食料主権」確立の決意と方法を示す必要がある。
麻生首相は安倍政権の党幹事長を退いた後の10カ月間、地方を精力的に回り「地方の声をつぶさに聞いた」と語っている。
党総裁選で地方票の9割を獲得したのは確かだ。
前岩手県知事で地方分権改革に熱心だった増田寛也総務相を閣僚からはずしたのも「地方の問題は自分がやる」との決意を示したつもりかもしれない。
しかし、地方分権に必要なテーマはほぼ出そろっている。せんじ詰めれば、分権に抵抗する「霞が関」を統制できる首相の気概と政治力が鍵を握る。
麻生首相からはまだその点が見えてこない。政治は地方から変わるとの確信を持つべきだ。
2008年09月25日木曜日
さらに、「西日本新聞」 の9月25日の「社説」では・・・
麻生太郎新首相へ 敢えて謙虚さと平衡求めたい
2008年9月25日 10:43 カテゴリー:コラム > 社説
念願の首相就任、とりあえずおめでとうございます。
一国の首相になられた方に「とりあえず」とは失礼な言い方かもしれませんが、新首相の前に立ちはだかる多難と苦労を地元紙として案ずればこそのことです。ご容赦ください。
直面する政治的使命や政策課題の重さ、あなたが取るべき道については、自民党総裁に就任された一昨日の社説で意見を申し上げましたので、きょうは視点を変えて、いまの政治状況の中で国民が新しい首相に何を期待し、何を求めているかについて、少々述べさせていただきます。
僭越(せんえつ)だとは思いますが、それを知ることが「次の総選挙で民主党に勝って初めて『天命』を果たしたことになる」と宣言されたあなたが、「暫定首相」から「真の首相」になるためには欠かせないと思うからです。
●ぶれない指導力を
いつの時代も、国民は政治に対して「わがまま」なものですが、いまは、不安と不信が先に立っています。
少子高齢化が進む社会で、年金や医療、介護といった社会保障制度に対する不安は、永田町の方々が想像されている以上に深刻です。
霞が関で制度をいじっている官僚にいたっては、まったく分かっていないと言っていいでしょう。
小泉構造改革がもたらした競争社会で広がった所得や雇用形態、地方の疲弊など、さまざまな格差も同様に深刻な問題です。ここにきての景気後退がそれに拍車をかけています。
昨年の総裁選に敗れて、この1年に全国を講演行脚されたと聞いています。その成果でしょうか、あなたは総裁選の期間中に、毎年2200億円減らすことになっている社会保障費削減政策を2010年度から凍結する方針を示し、後期高齢者医療制度の見直しに言及されました。
積極的な財政出動で景気対策を当面最優先し、景気を「3年間で全治」させ、その後に財政再建、経済成長をめざすとも宣言されました。
国民の不安を考えれば、方向性は、おおむね間違っていないとは思いますが、いずれも政府方針を変えるものです。この時期の政策転換はどうしても「色めがね」で見られがちです。
総選挙に勝つことが自民党総裁としてのあなたの使命であることは分かります。しかし首相として、これが選挙向けの「口約束」でないことを政治責任をもって国民に具体的に説明する必要があります。国民の目はそう甘くはありません。
そのためには持続可能な社会保障制度の将来像をどう描き、破産状態にある国と地方の財政をどう立て直すか。経済政策通を自任し「官僚の視点には頼らない」という、あなたの政治信条と政治手腕が試されています。
政治が明確な針路説明を示せずダッチロール状態にあるいま、何度も政治に裏切られてきた国民は政治指導者に「政治の責任感」と「ぶれない指導力」を強く求めています。
あなたが「無責任」と批判する小沢民主党の政権公約とどちらに説得力と信頼性があるのか。その意味で、総選挙は自民、民主両党首のリーダーシップが問われる場となります。
●鈍感でない政治を
総理総裁を目指すことを宣言して、その座を射止めたのですから「責任感」と「指導力」の必要性は十分に分かっておられるはずです。
そこで、おせっかいと思いますが、もうひとつ政治指導者に欠かせない要件を挙げさせてもらいます。
外交・安全保障政策に詳しいあなたですが、一度落選して再び国会に戻ってこられたころに、あなたから聞いた言葉を忘れません。「国をどう導くかが政治の本分だが、政治が国民生活に鈍感であってはならない」
当時の苦い経験が言わせたのかもしれませんが、「鈍感でない政治」こそいま国民が政治指導者に最も求めている資質です。
言い換えれば「国民目線の政治」ということになるのでしょう。政権を投げ出した福田康夫前首相に言われるまでもなく、それは政治に携わる者が片時も忘れてはならない視点であり、いつの時代も変わらない政治の普遍的な原理でもあります。
「そんなこと言われなくても分かっちょる」という、あなたのダミ声が聞こえてきそうですが、首相だからこそ、あらためて肝に銘じてほしい。この視点を欠けば国民に見放されます。
あなたとは肌合いが異なる政治家ですが、かつてあなたが所属した派閥の長だった故宮沢喜一氏が首相に就任したときの言葉を思い出します。「政権を担う者は、権力への謙虚さと時代への平衡感覚がなにより必要です」
宮沢さんなりの自らへの戒めでしょうが、これも国民が求める首相の資質のひとつです。
率直な物言いと決断力が、あなたの持ち味かもしれません。それが「自信と強気と独断の政治家」のイメージを与えていますが、じつはシャイで人情家、決断にあたって慎重な姿を幾度も見てきました。だからこそ、敢(あ)えて謙虚さと平衡を求めても、それができる。そう信じています。
=2008/09/25付 西日本新聞朝刊=