今日付けの、東北地方で発行されている「河北新報」の社説で、年内にも行われるかも知れない衆議院総選挙で、日本共産党票が政権交代を促すかもしれないと論じています。
論点を幾つか抜書きすると
① 衆院山口2区の補欠選挙で公認候補を立てずに自主投票とした共産党支持層の84.6%が民主党候補に投票し、民主党候補の勝利に貢献した。
② 共産党は昨年9月の中央委員会総会(5中総)で、次期衆院選では小選挙区の候補をほぼ半減させ、党組織を比例代表の選挙に集中させる方針を決めた。
③ 山口2区補選で共産党票が民主党に流れたことについて、共産党は「別に民主党に勝ってほしくて擁立しなかったのではない」と話している。だが民主党は「野党政権をつくる考えは同じ」と選挙結果を歓迎。
④ 比例代表の選挙があるため共産党票が各地ですんなり民主党に流れることはないだろうが、自民党は「政権交代につながりかねない」と警戒感を強めており、郵政造反議員の復党を急いだのもその表れだ。
「5中総」で、この方針を決めて最初の衆院選だった衆院山口2区の補欠選挙の結果が、日本共産党の思惑を超えて影響が広がっていることは間違いないようである。
自民党が「郵政造反議員の復党を急いだのもその表れだ。」という所は、「5中総」より復党の方が先行していると思うので、必ずしも的確ではないが、結果的にはそういう考え方もあるだろう。
以下、ちょっと長いですが、そのまま引用します。
共産票の行方/政権交代を促す可能性も
4月に投票が行われた衆院山口2区の補欠選挙は、一騎打ちとなった自民党、民主党候補の勝敗が焦点となったが、公認候補を立てなかった共産党の支持者の動向も注目された。出口調査では、その多くが民主党候補に投票し、与党にとっては次期衆院選に向けて頭の痛い問題を抱えることになった。
共同通信社の出口調査によると、同補選で公認候補を立てずに自主投票とした共産党支持層の84.6%が民主党候補に投票し、自民党候補の15.4%を大きく引き離した。前回(2005年9月)の総選挙では多くの人が共産党候補に投票しており、今回の補選では民主党候補の勝利に貢献したことになる。
共産党は昨年9月の中央委員会総会で、次期衆院選では小選挙区の候補をほぼ半減させ、党組織を比例代表の選挙に集中させる方針を決めた。ほぼ全選挙区に候補を擁立したこれまでの選挙戦略を転換したのは、党の厳しい財政事情のためだ。
前回は300の小選挙区のうち275区に公認候補を立てたが、当選はゼロ。各区での得票率10%未満だと供託金が没収されるため、8割超の233区で計約6億7000万円が没収された。このため同党は「次期衆院選では選択と集中が必要」として、比例票が見込める選挙区に絞って候補を擁立する。
これまで決まったのは東北では25選挙区のうち6区。全国では300選挙区のうち140区程度にとどまる。そこで、残る160選挙区での共産党票の行方に関心が集まっている。
この方針を決めて最初の衆院選だった山口2区補選で共産党票が民主党に流れたことについて、共産党は「別に民主党に勝ってほしくて擁立しなかったのではない」と話している。だが民主党は「野党政権をつくる考えは同じ」と選挙結果を歓迎。次期衆院選で同じようなことが各地で起きれば議席の大幅減が確実な自民党は「戦い方を検討し直す」と危機感を募らせており、波紋は極めて大きかった。
自民党は過去の衆院選で外部の二つの組織票に助けられてきたと言える。一つは小選挙区の票を底上げしてくれる公明党だ。そしてもう一つは、多くの小選挙区に候補を立てて野党票を分散させてくれた共産党だ。
だが、次期衆院選ではそれがない。比例代表の選挙があるため共産党票が各地ですんなり民主党に流れることはないだろうが、自民党は「政権交代につながりかねない」と警戒感を強めており、郵政造反議員の復党を急いだのもその表れだ。
今国会は道路財源をめぐって与野党が真っ向から対立しており、こうした国会審議の経緯も次期衆院選での選挙協力に微妙な影響を及ぼすだけに、目が離せないところだ。
河北新報 2008年05月05日月曜日
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