「21世紀のドストエフスキー~テロの時代を読み解く~」をやっていた。
なかなか、難しい1時間番組であった。
「カラマーゾフの兄弟」における父殺し、と
「罪と罰」におけるラスコーリニコフによる金貸し老婆の惨殺
そして現代のテロを結びつけて語るというものであった。
コメンテイターは、オウム真理教のサリン事件も「純真な青年の所業」と語り、ドストエフスキーの描いた青年と結び付けようとしていた。
私は、このような論立てには問題があると思う。
結局、サリン散布やテロを容認してしまうことになってしまう。
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その二日後の今日(2007/10/16)、しんぶん「赤旗」日刊紙の文化欄に、
「ドストエフスキーとマンガ」と題して、ドストエフスキーを語る越野 剛氏の記事が出た。
7段組の結構大きな記事である。
この記事でも冒頭に、ETV特集で番組の導入部を飾った、新訳の「カラマーゾフの兄弟」全5巻(亀山郁夫訳・光文社古典新訳文庫)が取上げられ、
【30万部を超えるヒットとなり】、【最も読まれているのがロシアの難解な長編小説だ】と語っている。

越野氏は、
【文学作品にせよ映画にせよ戦後の日本文化の担い手たちは当たり前のようにドストエフスキーを読んでおり、自分たちの創作活動にロシアの小説家の問題意識を反映させてきた】
と語り、
【今や日本の国民文化となったマンガにもその影響は大きい】
と、本題に入ってゆく。
原作を下敷きとして描かれたマンガとして手塚治虫と大島弓子の「罪と罰」を取上げて比較し、また青木雄二の翻案「邂逅」を取上げている。
とはいえ、私はいずれも読んだことがない。
「罪と罰」の原作は、難行苦行の上にどうにか読み下したが・・・
また「罪と罰」のストーリーではないが、直接・間接に影響を受けているものとして、古谷実の「ヒミズ」、大場つぐみ・小畑健の「デス・ノート」などを論じている。
いずれも同じく私は読んだことはない。
最後に、新訳の「カラマーゾフの兄弟」は、
【退職を迎える団塊の世代が手に取ることを予想されていたが、若者を含む広い世代の人々にも読まれているようだ】
と締め括っている。
越野 剛氏が、この原稿をNHKの番組を見てから書いたとは思えないので、新訳の「カラマーゾフの兄弟」に影響を受けての偶然の一致であった。
しんぶん「赤旗」日刊紙を御購読の方は、本日(10/16)付け9面をお読みください。
なお、今日のこの記事の下のコラム【朝の風】では『夏目漱石の「資本論」』という記事が掲載されている。
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