題して
【最低賃金の大幅引き上げと
全国一律最低賃金制は世界の流れ】
サブタイトルは
「日本共産党は最低賃金を時給1000円以上に引き上げ
全国一律の制度とすることを要求します」というもの。
講師は、日本共産党中央委員会国民運動委員会 筒井晴彦さん
最近参加した勉強会の中では、得たものが多い有意義なものであった。
そこで、世界各国の最低賃金制の導入状況や金額の資料を貰ったが、これは非常に興味深い。(国際労働機関;ILOがデータを公表している101カ国)
その資料で知ることができたのは、
発展途上国を含めて殆どの国で最低賃金制度が導入されており、
欧州各国では「全国一律最低賃金制度」が定着している。
また、欧米諸国と一括りにすることが多いが、欧州が先進諸国だとすれば、アメリカ合衆国は、南北アメリカ諸国の中でも後進国の範疇だということ。
日本は、さらにアメリカよりも遅れていることである。
たとえば、日本では地域別最低賃金制度と職業別最低賃金制度を併用しているが、これらを採用しているのは、世界では開発途上国が殆どである。
地域別最低賃金を採用している諸国は世界で9カ国だけであり、先進諸国では日本とカナダだけであるが、カナダは日本に比べてはるかに国土が広く連邦制であるという前提条件がある。それでも日本が47の地域別最低賃金なのに対して、カナダでは12分割にすぎない。
他の8カ国は、中国、インドネシア、フィリピン、メキシコ、パナマ、ベネズエラ、シリアである。
金額面では、欧州先進国では、【月額】最低賃金が基本であり、日雇いという想定そのものがない。
その月額は、購買力平価・円換算で、フランスでは、¥180,081,ルクセンブルグでは、¥227,964 であり、日本の最低賃金の月額計算値 ¥116,608 の2倍前後である。 【月額】最低賃金は、生計費重視と言う欧州の積算基準の考え方から来ている。
日本では、積算基準に『企業の支払い能力』というものが入っているが、これを基準に取り入れいる国は世界の少数派(15ヶ国)であり、欧州諸国では旧・東欧諸国も含めてリトアニア一国だけである。
他の14カ国は発展途上国である。
アメリカ合衆国は、ここ10年間最低賃金のUPがゼロで、後進国並みだったが、米・民主党が議会の主導権を握った影響か?
2007年13.6%,2008年12%,2009年11%UPが決まっており、
この3年間で41%最低賃金がUPする。$5.15⇒$7.25。
これには、米国の大企業を含む800社の社長と重役が最低賃金引き上げを「支持する声明」を出している。
それでも欧州先進諸国よりははるかに低いが日本よりは高くなる。
なお、この会議で、最低賃金1000円の“言い出し兵衛”は、誰かを訊ねたところ、
全労連が最低賃金時給1,000円、日額7,500円、月15万円を提起したのが最初で、2007年1月の国会で志位委員長がこの労働者の要求を支持する質疑を行ったという流れだとのこと。
連合も時給1000円を要求する中で、民主党も4月の選挙を控えて、時給1000円(全国一律は800円、地域最低賃金平均で1000円)という方針を出したそうだ。
野党4党が、この最低賃金の基本的立場は一致しているので、この国会で労働者の草の根の運動とも連携すれば、大きな一歩前進を勝ち取る展望も出てきているのではないかとの感触を受けました。
(執筆者-S)
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最低賃金の引き上げ 各政党の政策・態度は?
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最低賃金の引き上げ 各政党の政策・態度は?
2007年9月26日(水)「しんぶん赤旗」
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〈問い〉 貧困問題、特にワーキングプアの解決のためには、最低賃金の大幅引き上げが急務だと思います。この最低賃金の引き上げについて、各政党がどういう政策・態度をとっているのか、教えてください。(神奈川・一読者)
〈答え〉
日本共産党は、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)ができる水準に最低賃金を引き上げるのは国の責任であると考えています。
労働組合が一致して求める時給1000円以上を当面の目標に、抜本的に引き上げるよう主張しています。
また、どこで働きどんな職業に就いていても、公務と民間のすべての労働者に適用される全国一律最低賃金制の確立を求めています。
さらに、生計費(生活できる賃金)を最低賃金の決定基準とし、現行法にある企業の「賃金支払い能力」を削除します。
これがあるために、わが国の最低賃金が「先進国」で最低の水準になっているからです。
中小零細企業が最低賃金を支払えるように、大企業の下請けいじめや規制緩和による過当競争を規制するとともに、助成措置を講じることを提案しています。
自民・公明の与党は、抜本引き上げについて、「中小企業の経営を圧迫する」(安倍前首相)として、拒否しています。企業の「賃金支払い能力」基準をそのままにして、都道府県ごとにバラバラに決める仕組みを維持する立場です。産業別最低賃金については、罰則をなくし、廃止の方向に大きく舵(かじ)をきりました。公務員を適用除外にしています。
民主党は、全国最低賃金として800円、その上に積み上げる地域最低賃金として平均1000円をめざしています。
労働者の要求を一定反映した提案となっています。
ただ、現行制度でも最高の東京(739円)と最低の秋田、沖縄(618円)との格差は121円ですが、民主党案は200円以上の大幅な格差を認める提案となっています。
貧困と格差をなくすという最低賃金制の本来の役割が損なわれる危険があります。
また、当面3年間は企業の「賃金支払い能力」基準を認めるとしています。18歳以下の若者と70歳以上の高齢者について、最低賃金を減額するという新たな措置も盛り込んでいます。公務員を適用除外にしています。
世界をみると、国際労働機関(ILO)がデータを公表している101カ国のうち、62%の国が「生計費」あるいは「労働者とその家族の必要」を基準に定めています。
日本のように、企業の「賃金支払い能力」を定める国は、わずかに15カ国。地域別にバラバラに最低賃金を決めている国は、9カ国しかありません。またILOは、年齢によって最低賃金に格差を設けることを批判しています。
日本共産党は、この世界の流れに沿った最低賃金制を提案しています。(筒)
〔2007・9・26(水)〕