朝日新聞の抄訳を使って討議した支部会議でも様々な見方が出ました。
① 一つの意見の傾向は、アメリカ合衆国の大統領が、世界で唯一核兵器を使用した核兵器国であることにおいて、核廃絶の行動を起こす道義的責任を負っていることを認め、自ら核廃絶を世界に呼びかけ約束した画期的な演説である、
との意見であり、
② これと対極にある傾向は、【ただし核兵器が存在する限り、敵を抑止するための、安全で、厳重に管理され、効果的な核戦力を維持する。そしてチェコを含む同盟国に対し、その戦力による防衛を保証する。】(朝日新聞訳)の一節を捉え、この一言がある限り、核抑止力の議論から逃れることができず、「核廃絶」の宣言は単なるアピールにすぎず、実現するはずが無い
との意見です。
③ また、経済危機と財政破綻から、核兵器の維持と軍備増強は不可能であると再認識したことによる自らの御都合主義からではないか、という意見もありました。
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日刊「赤旗」の論調もこの数日で少しづつ変わり、次第にオバマ発言に対して積極的な評価をするようになったように思えます。
「赤旗」も、当初(4月6日)上記の②に近い表現をしていました。
【核兵器削減を表明】 2009年4月6日(月)「しんぶん赤旗」
当該部分を引用すると下記のようなものです。
とし、短い記事 の半分以上が上記のような否定的な側面を強調するものでした。オバマ氏は「どんな敵対者をも思いとどまらせる安全かつ効果的な兵器を維持する」と核兵器の保有継続を確認しつつ、「核兵器を減らし始める」と強調しました。(中略)
米国がチェコとポーランドに計画するミサイル防衛(MD)についてはイラン次第という態度を表明。「イランの脅威が続く限りミサイルシステムを進める」(後略)
これが、翌日(4月7日)の「赤旗」では、少し変わっています。
【核廃絶は「道義的責任」 米大統領が強い意志】 2009年4月7日(火)「しんぶん赤旗」
同じく引用すると、
前日のような否定的な指摘は全く無くなりました。オバマ米大統領は五日、チェコのプラハで行った核兵器に関する演説で、「核兵器のない世界」の実現に「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動すべき道義的責任がある」と述べました。(中略)
こうした前政権の態度と比べ、オバマ氏の言明は核兵器廃絶に向けて踏み込んだものです。「核廃絶は無理だ」という議論を「生かしてはおけない敵」とまで言い切り、核兵器をなくすことに強い意志を表明しました。(中略)
オバマ氏は演説の結びで、「達成出来そうもない目標を設定する意味があるのか」という疑問に対し、各国とその国民の協力こそが必要だと力説しています。
4月9日の、「おはようニュース問答」では、より一層オバマ演説の積極面を強調する「問答」となっていました。 Web版には掲載されていないので、一部をキーボード入力すると、
その国(核兵器を1万1千発も持っている米国)の大統領が核廃絶の意志を表明したわけだ。「核兵器の拡散は防ぎきれない、チェックしきれない」という悲観論には、そういう考え方こそ「生かしてはおけない敵」とまで言い切っている。(中略)
オバマ氏も「私の生きている間にはできない」と言ったように時間はかかるかもしれない。でも各国とその国民の協力があれば可能だとも述べている。「イエス・ウィ・キャン」という呼びかけには大きな拍手が起きていたね。
私(執筆者-S)は、オバマ演説を積極的に受け止めているので、この赤旗の評価微調整は歓迎します。 というよりは、上記の4月6日の短いネガティブな記事が出たときは、いつもと変わらぬ「紋切り型評価」にがっかりしたものでした。
朝日新聞の訳にも肝心なところが抜けているなど、読者を誤誘導する点があります。
これらの点についての私の意見を、【続き】 に掲載しました。
関心があれば、お読みください。
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