地球温暖化の抑止に、日本はどのようにして国際的責任をはたすべきかという論文を15の項目のQ&Aにしてお送りします。
題して
「地球環境問題の疑問が解ける15の項目」
必要な所だけ読んでもいいです。
以下の15の項目です。
Q1温暖化の日本での現実の影響はあるの?
Q2なぜ2度以内に抑えることが必要なの?
Q3なぜ先進国の責任が重いの?
Q4先進国の取り組みの現状は?
Q5後進国の取り組みの状況は?
Q6日本の取り組みの現状は?
Q7日本はどうしたらいいの?
Q8産業界との関係はどうしたらいいの?
Q9排出量取引は必要か?
Q10環境税は必要か?
Q11自然エネルギーか化石燃料か?
Q12自然エネルギー電力の買い取り制度は必要か?
Q13原発が切り札か?
Q14コンビニの24時間営業が問題なの?
Q15産業界の経済合理性で解決しないの?
ではスタートです。
Q1温暖化の日本での現実の影響はあるの?
日本でも、真夏日の増加、竜巻のひん発、台風や低気圧の強力化、記録的な集中豪雨の増加、高潮の被害などが日常の生活や安全を脅かしています。九州の稲が高温障害で実入りが悪くなったり、ミカンの生育不良、沖縄周辺でサンゴが死滅し、日本海などで大型クラゲの大量発生が起きるなど、農林水産業への影響もあらわれています。
Q2なぜ2度以内に抑えることが必要なの?
地球の平均気温は、産業革命以後二百年余を経た現時点で〇・七六度上昇しています。それにくわえて、すでに大気中に排出されてしまった温室効果ガスの影響で、これからの二十年間に気温がさらに〇・四度上昇すると予測されています。そして、もしこのままなんの手もうたなければ、平均気温は今世紀末には最大で六・四度上昇すると予測されています。
危機的な事態が予測されるなかで、いま、地球温暖化の抑制に真剣に取り組むこと、とりわけ、産業革命前に比べて気温上昇を二度以内に抑えこむことに全力をそそがなければ、地球環境と人類の生存を脅かす破局の到来は避けられません。
Q3なぜ先進国の責任が重いの?
地球温暖化抑止について世界がどう取り組むかを定めた気候変動枠組み条約は、産業革命以来の地球温暖化の進行にそれぞれの国がどういう責任を負っているかに着目して、世界の国ぐにを、「過去及び現在における世界全体の温室効果ガスの排出量の最大の部分を占める……先進国」(三十五カ国)と、それ以外の「開発途上国」とに区分し、それぞれの役割・責務を明らかにしています。
地球温暖化の抑止という全人類的課題の解決に、地球上のすべての国・地域が全力をそそぐ必要があることはいうまでもありませんが、産業革命以来の経済活動を通じて地球温暖化に大きな責任を負う「先進国」と、「途上国」の違いを考慮に入れる必要があります。
事態の経過からいって、「先進国」は、地球温暖化の危機を生み出してきた歴史的責任を負うべき立場にあり、その点からいっても、「先進国」が地球温暖化に関する主要な責任を自覚し、それにふさわしい役割をはたすことが強くもとめられます。
Q4先進国の取り組みの現状は?
「京都議定書」によってEU(当時の加盟国十五カ国)は、「第一約束期間」までに一九九〇年比で8%削減することを義務づけられましたが、EUは、その参加国のなかでも経済発展が先行し人口も多い国が率先してより多くの割合で削減する対応策を取りました。イギリスは、12・5%の削減を目標に掲げ、二〇〇五年までにすでに目標を上回る15・7%を削減し、約束期間の終了(二〇一二年)を待たずに二〇一〇年までに23・7%削減する見通しです。イギリスは現在、二〇二〇年には30%、二〇五〇年には60~80%削減する目標を明記した法案を審議中です。またドイツは、21%を約束期間中の削減目標とし、二〇〇五年で18・7%まで削減し、二〇一〇年には25・7%まで削減する計画です。さらに、二〇二〇年には40%削減、二〇五〇年には80%削減を目標としています。
こうした取り組みによって、EU全体を通じて二〇一〇年には目標を四割も上回って11・4%削減し、二〇二〇年までに30%削減する「中期目標」(EU以外の国が適切な削減に合意しない場合は20%)、二〇五〇年には60~80%削減する「長期目標」を掲げ、国際的な削減の枠組みでの合意をめざしています。
Q5後進国の取り組みの状況は?
「温室効果ガス排出の抑制に努め、地球的な気候変動の緩和に貢献していく」(中国)、「エネルギー部門で二〇二五年までに17%削減する」(インドネシア)などの努力が開始されています。
また、温暖化の影響をもっとも深刻に受けるのが、小さな島国をはじめ、地球温暖化にほとんどなんの責任もなく、現在なお貧困に苦しみ、経済的にも弱い国ぐにであることを真剣に考慮しなければなりません。
Q6日本の取り組みの現状は?
わが国の取り組みは「先進国」のなかでも決定的に立ち遅れています。京都議定書で、温室効果ガスについて一九九〇年比で6%削減する目標を掲げながら、逆に6・2%も増やしており、この人類的課題をはたす責任を投げ捨てるものとなっています。政府は、この姿勢に世界から強い批判が向けられていることに、目をふさぐべきではありません。
Q7日本はどうしたらいいの?
わが国に課せられた「先進国」としての国際的義務をはたすために、「二〇五〇年まで80%削減」の長期目標を出すにとどまらず、それにむけて着実に実現していくための通過点を明示して、二〇一二年までに九〇年比6%削減という、京都議定書での約束を実質的に達成するとともに、わが国として二〇二〇年までに30%削減することを明確にした中期目標の確立に踏み切ることをもとめます。
テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済