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若者たちはいかに 「蟹工船」 を読んだか

 2月8日付けの、日刊しんぶん「赤旗」に
若者たちはいかに 「蟹工船」 を読んだか
という記事が掲載された。

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 残念ながら、Web版には掲載されていないので詳しくは紹介できないが、
主な部分をキーボード入力で紹介したい。

 このほど【『蟹工船』読書エッセーコンテスト】が行われ、
25歳以下対象の【U25】部門と、
年齢制限なしの【ネットカフェ部門】の二つの部門で募集し、
百件を上回る応募があったとのこと。


 全体として力作ぞろいの応募作の中で、U25部門、ネットカフェ部門ともに、それぞれの最高賞を受賞したのは、女性の労働者の手によるものだった。
 どちらも虚無感に満ちた現実世界野中で労働し、生活する人たちの悲しみと絶望、出口のない閉塞感といった深刻な問題を直視し現実の労働現場の状況と「蟹工船」の世界を対照させながら、言いたいこと、語りたいことをぐいぐいと主張してくる、訴える力の強い作品である。
 切実な内容と文体でこうした感想を筆者達に書かせたということそのものが、やはり社会的なしわ寄せを受けやすくなっている女性労働者たちの現実状況を反映しているのだろう。 



 若い女性の感性もさることながら、彼女らが「蟹工船」を読んでみようとしたきっかけの方により興味を引かれる。
 おそらく、感想文を読めば、そのあたりの経緯が解るのだろうと思う。

 
 U25部門で準大賞をを分け合った二つの作品は、それぞれ中学生、高校生の手による、みずみずしい感性を示す感想である。
 ・・・その切り口も書かれている文章の文体も、実に心打たれるものだった。
 高校生の受賞作に、日本の現状を振り返りながら、「本来なら他の国の人達にも誇るべき日本人の温厚さが近年の色々な問題を引き起こしてきた一つの要因になっているとしたら、とても嘆かわしい事である」と述べてあるところなど、そのしっかりした思考に敬服させられた。
 



 私たちが高校生の頃は、日本史か現代国語かなにかで、一般論として「蟹工船」やナップについてさらっと習った気がするが、本文が教科書に掲載されてはいなかったと思う。
 教科書検定の右傾化のもとで、「蟹工船」が教科書に掲載されているとは思えないので、中高生がどのようにして「蟹工船」との接点を持ったのかにも興味がある。

 
 二つの部門を通じて、論点として特徴的だったのは、「蟹工船」の世界は昔のことではなく、今起こっていることであるとする点、そうした中で「団結」の意味を認識したという点だった。
 それもただ単に虐げられた労働者の「団結」の必要性をいうだけでなく、さらに突っ込んで、現状の中での「団結」の困難さと、それを打開する意志を表明したものが目立ったことは、「蟹工船」が今日の時代野中で、現実に生きている若者たち、労働者たちの間に、どのような具体性をもって読まれていかを端的に示したものだといえるだろう。 
 



 この団結の困難性とこれを打開する努力と意志という問題は、現在の労働運動の重大な課題だと切実に感じているので、是非この受賞作を読んでみたい。
 私も、職場の若手に労働組合の話をしてみたが、
「考え方や生活が多様化している中で、要求も様々であり要求をまとめることは不可能だ」
との話となり、これに対して説得力ある応答ができなかったことがある。
 一般的な労働運動論は勉強しているだけでは若者の意識に感銘を与えられないことを痛感したものであった。


 今年は多喜二生誕百五年、没後七十五周年にあたり、各地での「多喜二祭」も盛り上がりをみせている。
 まさに多喜二の描いたものが、時代を超えて、今日の資本主義社会の実相を浮き彫りにしているからではないかとの思いを、一層深くする結果であった。
             <コンテスト審査員・選考委員長 島村 輝 女子美術大学教授>
 



Web版でも掲載されているので、もう一度「蟹工船」本文を読んでみたいと思う。
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【他にもWeb版で読める多喜二作品】

「一九二八年三月一五日」

「不在地主」

「工場細胞」
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